私が努める会社の社長もそうだが、組織のトップに立つ人、会社を興す人というのは、良くも悪くも変人なのだと思った。
物事は表裏一体なので、一つのもの(現実の物質であれサービスであれ)作り出す執念は「こだわり」と評されることもあれば、非現実的な「わがまま」と評されることもある。
ジョブズ氏は、その繰り返しで会社を興し、商品を作り、サービスを創り出してきた。
それがよくわかる内容の本だった。
自分自身や周囲の人たちで、時に怒り出したり、時に泣きだしたりして、何かをするというのは見たことがないし、聞いたこともない。
実際にそうしているところ見てみたいと思った。
ジョブズ氏が禅に傾倒していることは知っていたが、傾倒という表現が生易しいんじゃないかと思うくらいだということは、意外だった。
Wikipediaで仕入れた知識によると、現在の禅は日本で発展し、世界に広まったんですね。
だから日本の禅を愛したんですね。
伝記を読むのはおそらく小学生以来。
ところどころ首をかしげる翻訳もありましたが、非常に読みやすい内容でした。
本人が病に伏していたとはいえ、生前に完成したものだからなのか、直近の事柄や高校~大学時代の内容が薄いのが残念。
それでも数年後もしくは十数年後に読み返すことでしょう。
その時、Appleがどんな状況になっているのかで、この本の内容の受け取り方もまた変わってくるんだろうと思います。
一番意外だったのが、あの有名な
Stay hungry, stay foolish.
が彼自身の言葉ではなかったこと。
まあ、誰の言葉であれ彼が気に入ったことは、まぎれもない事実なんですけどね。
そして、やっと得心の行く日本語に巡り会いました。
ハングリーであれ。分別くさくなるな。
「バカであれ」は、日本語としてクールじゃないと常々感じていたんですよね。
あと、たぶん、日本語版だけの問題が少々。
これまで本文中に一切の写真、図表がなかったのに、下巻で唐突に一枚だけ図が入れられています。
しかしこれをあえて入れたのは、何故なのだろう?
FIG.9とあるのでほかに少なくとも8枚はあると思うのだけれども、これよりも重要なものがあると思う。
もしくは入れる必要はなかったと思う。
それから本文が終わってすぐに奥付になっているのは、余韻も何もあったものじゃない。
一枚(二頁)の余白を入れることができなかったのだろうか?
この二点が、非常に残念。
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