日本語版原作で八百頁以上もある物語を上手くまとめていました。
私は第三部まですべて読んでいるので、とても楽しめましたが、未読の人はどうなのかな?
展開がご都合主義だと感じる人もいるとおもいます。
謎解き物語で、しかも四十年前の事件を解き明かすものなのでゆっくりと時間をかけて展開する原作です。
しかし映画では上映時間という制約があるので仕方がないと思います。
丹念に辛抱強く調べてやっと見つけた手がかりが、あっという間に見つかったように感じてしまうのも仕方がないですよね。
そもそも主人公ミカエルが依頼を引き受けたのは、お金の報酬ではないのですが、映画ではお金の為というように捉えられてしまいます。
それに雑誌ミレニアムや編集長兼共同経営者エリカなどの存在感がゼロです。
第二部、第三部で特にエリカは重要な人物なんですけどね。
原作者は五部構想だったようなのですが、惜しくも故人となっているので、三部作になっている本作品。
当然、原作では残り二部への伏線が色々あります。
エリカ周りの事もその一つ。
映画の第二部、第三部をまとめる上で、そういった伏線はすべて切り捨てるでしょう。
エリカの役回りも少々変わってくるかもしれません。
そう考えると、ありなのかなあと思います。
映像化された一番の恩恵は、人物を見分けやすくなったこと。
登場人物のリストが、本に挟まれて売っています。
それだけ登場人物が多いのですが、特に第一部はヴァンゲル家での事件に取り組んでいるので、〜・ヴァンゲルという人物が沢山出てきます。「第一部 上巻」のリストには16人のヴァンゲルがいます。
しっかり読んでいかないと名前だけでは誰が誰だかわからなくなってしまいます。
そこに顔が紐付けられるので、とてもわかりやすくなりました。
ただ映像化されて一番駄目だったこともあります。
役者が人物のイメージとぜんぜん違うということです。
今回に限らず、小説→映画という順番だったことの宿命ですね。
もちろんイメージ通りという人も沢山います。
そうでなければ、スウェーデン本国で大ヒットする訳ないですから。
なんか登場人物の全員が、みんな年寄りくさいんですよね。
ヒロインのリスベット・サランデルも含めて。
とても残念。
それと気になったのは、炎上男。
第三部を見据えての映像なんですけど、男の顔を出していたのはびっくり。
役者が決まっているということなんだろうけど、まさか第一部で顔を出すとは。
映画を観て思ったことは、やはり日本語版のタイトルは煽りすぎです。
原題は「女を憎む男たち」だそうです。
こっちの方がぴったり。
第二部、第三部も是非日本で公開して欲しいですね。
絶対に観に行きます。
三部作、一部ごとに上下分冊で、合計六冊。
ところで、老婆心ながら一つ注意点。
なので男女で観に行くのはやめたほうが良いです。
実際にニ、三組いたのですが、映画が終わったあとなんとなく居心地が悪そうでした。
そりゃそうですよね。
派手に宣伝されていないのに観に来たってことは、どちらかが原作を読んだからだと思います。
なぜ二人で観ようと思ったのだろう?
私には不思議でならない。
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